ぬる湯ま

よく錆びます。

除毛した

 

 過日、やんごとなき事情により体毛除去の必要性が生じたため、近所の量販店で「除毛クリーム」なるものを調達した。1,000円もしないような、比較的安価な代物である。

 帰宅してシャワールームへと直行、さっそく除毛の儀を執り行う。それはクリームを任意の場所に塗布し、10分程度した後に該当箇所をふき取るという簡単なものだ。しばらくして、身体某所に生えていたムダ毛は無事に伐採された。

 

 さて、改めて己の肉体を眺める。そこには様々な体毛が生えていることに気づかされた。某所の除毛を終え、除毛クリームの効用に感動した私は、もっと色んなところを除毛したくなった。

 どこを除毛しようか、目に入ったのは、濃い産毛に覆われた私の両脚であった。ついに色白無毛美脚を手に入れる時が来た。そう思い、意気揚々とクリームを塗りたくる私。風呂場は除毛クリーム特有の臭いに包まれていった。

 しばらくした後、シャワーで洗い流していくと、そこには見事な無毛美脚があった。感動した。これで私も美脚人類の仲間入りである。気分が浮き立つ。さて、次はどこを除毛しようか・・・。

 

 

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 結論から言う。両脚の除毛は完全に徒労であった。

 

 これは体質や元々ある体毛の量など、属人的な要素が大きく絡むものと思われる。なので簡単にこれと言い切ることは出来ないが、あくまで私的感想を述べるとするならば、脚を除毛する必要なんてなかった。少なくとも私は、冒頭に記した "やんごとなき某所" を除き、目立った場所の除毛はもうしないと思う。

 

 このような結論に至った経緯を、以下にまとめた。

 

 

【!】毛が完全に失われるわけではない

 考えれば当たり前の話だ。除毛クリームの効用は、肌から出ている部分の毛を取り除くというものである。毛根は除去できない。一見、無毛美脚を手に入れたと思ったものの、よく見ればそこには無数の黒点が散らばっている。これを美脚と言えようか。

 言ってしまえば髭剃りでそり落としても同じような結果が得られる。脚の毛を伐採するのに、剃るか溶かすかの違いがあるというだけなのだろう。私は比較的剛毛持ちであるため、こういった事情も関係しているのかもしれない。

 この辺りの知見はないので何とも言えないが、毛根ごと除去し、完璧な色白美肌脚を手に入れるためには、いわゆるレーザー的処置をしなければならないのだろうと思う。(コスプレ界隈でその辺の手入れをしてる人たちって、どうやってるんでしょうね)

 

【!】ズボンを履いたときの感触が変わる

 脚を除毛した後にズボンを履くと、その感触が変わる。これを気持ちいいと取るか、苦手と取るかは人次第だろうけれど、私は正直不快感が勝ってしまった。長らくすね毛を生え散らかしてきた身にとって、突然訪れる生ズボンの刺激は強かったようだ。人の肌は体毛によって感覚が大きく変えられているのだなという発見があった。

 

【!】生えかけが地獄

 除毛して最も後悔したものがこれである。一部界隈にとって主食となりうる「生えかけ」も、脚毛となれば話は別だ。体毛は剃れば一瞬だが、再び生えそろうまでは時間がかかる。それこそ毛根ごと処理しなければ、いくら剃っても再び毛は伸びてしまう。

 毛が生えかけている時、それはとてもチクチクするものである。例えば全裸で膝をついたとき、ふくらはぎと太ももが密着する形となるが、そこに生えかけ脚毛が刺さる。これがとても痒くてつらい。チクチク状態を脱するには、一通り毛が生えそろう必要があるが、それには時を待たねばどうにもならない。これもまたもどかしい。

 拙い文章でこの感覚が伝わらなければ悲しいところだが、共感を頂くにはぜひあなたにも除毛してもらう他ない。

 

 「生えか毛」というのはとても痒い存在だ。無毛美脚を日夜維持しておられる各位の、その努力の大きさを思い知った昼下がりのことであった。アレほんとどうやって維持してんだろうな。

 

 

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P.S. 以前「オタクのお金で、致しおり【後】」で述べたような、指毛程度の適切な体毛処理は怠らないことに越したことはないと思います!